キャリア上での優位性を構築するためには

【キャリア】

「今の自分に優位性はあるのか」

「自分だけの価値って何?」

キャリアでは優位性を築くことが重要とはよく言われますが、優位性って具体的にどうしたら築けるのでしょうか?

実際問題、優位性を作ろうとして明日から何をすべきか決められる人は何人くらいいるでしょう?
それほどいないのではないでしょうか?

それは優位性という言葉がとても抽象度の高い、聞く人によってとらえる意味が変わる言葉だからなんですね。
では、そんな中で優位性を築くにはどうしたらよいのか、私自身悩んだこともあることなので、一緒に確認していきましょう。

優位性がある状態を作るには

結論からお伝えすると、優位性を持つには「社内で比較して資源ポジションがとれる」状態を作ることです。

私自身、戦略論を勉強している人間なので、そっち側からアプローチした解釈になります。
ちょっと表現として難しい部分はご容赦を。

これは簡単に言うと、「社内で自分だけしかない価値を確立させる」ということです。
まぁ、言葉にしたら当たり前なんですが。
少しかみ砕くのにお付き合いください。

 

社内で

まず、「社内で」とついていますが、これは「比較対象が必要だ」という意味です。

優位性というのは、相対的に出来上がるものですので、「誰と」比較するかが重要です。
もし、あなたがチーム内での優位性を求めるのであればチームのメンバーだけ見ていれば問題ないのですが、課内でとなれば課の人間全員と比較されますし、部内となれば部の全員と比較されるわけです。

「社内で」ということは、社内を比較対象にしているわけですね。
では、なんで社内なのか。

それは、最も長期目線での比較ができるからです。

組織はいつ何時、その形を変えるかわかりません。
人が辞めた、外部環境が変わった、新しいミッションができたなど、状況に応じて新しくできたり消えたりします。
その意味では、10年後もそのチームが残っているかどうかなんて誰にも分らないんです。
じゃぁ、課や部でもいいじゃない。
もちろんその通り。それでも構いません。でも、あなた自身転属にならない保証はありませんし、事業撤退がないなんて言いきれますか?

今や大企業でも事業買収のリスクにさらされるのが日本企業です。
であれば、最も長期で考えるという意味で、「社内」を選ぶのがよいというわけです。

ちなみに、「転職」市場というくくりにするのはお勧めしません。
確かに、転職したり市場価値を図る上では、そうするのが王道なのですが、単純に考えづらいんです。
業界で絞るのか職種で絞るのかによっても変わりますし、絞ったところで、そのエントリーで通る保証もありません。

ですので、長期目線で最も確実性の高い「社内」を比較対象にするのがよいでしょう。

 

自分だけしかない価値を作る

次に、自分だけの価値を作るという表記ですが、これは独自性を指します。

独自性があることで、仕事を求められるようになりますし、その独自性が認められて仕事が集まってくるようになると、自分ブランド化し、誰にも真似できない価値になります。

ただし、独自性は求められる価値でなければなりません。
仕事で求められないのであれば、それはただの珍しい人でしかありませんからね。

独自性を構築するときに、よく言われるのは「広くか深くかを意識する」ことと「付加価値」を出すことです。

一つの軸、専門性と置き換えても構いませんが、それだけで勝負するのであれば、深さを意識する必要があります。
経理が公認会計士の資格を取ったら、もうその会社ではその人はずっと頼られることになるでしょう。

一方で、広さを取るアプローチもあって、それが複数軸を掛け合わせる。です。
複数軸(複数の専門性)を掛け合わせることで、その人にしかできない仕事が生まれるのです。
経理がエンジニアもできるのであれば、会計ソフトについてはその人に任せっきりになるかもしれません。

お伝えしておきたいのは、それぞれの専門性はそれほど深さを持たなくていいことです。
掛け合わせによってオリジナリティが出せるという意味ではこちらの方がより自由度は高く、求められないリスクも高まりますね。
掛け合わせる軸については、より慎重に社内を見渡す必要があるでしょう。

そして、付加価値は「自分単体で生み出した価値」のことをいいます。
製造業であれば「売上ー原価」が単純な数式がわかりやすいですね。
原価には、原材料費やら外注加工費やら色々と含まれるのですが、単純に「他の企業が生み出した価値」を指します。

これがキャリアに適用されると「自分の成果ー他の人が生み出した価値」があなたの付加価値と言えます。
数値に置き換えづらいので何とも言えませんし、正直なんとでも定義できてしまうので、証明は難しいのですが、自分自身で判断するための基準にはなりうるので、ぜひ考えてみてください。

少し分かりづらいので、私の過去の付加価値を紹介しますね。
私は、一時期ですが、基幹企画としてのsalesforceの運用を起案していた時期があります。

その時のメンバーは、上司1名とシステム担当2名です。
3名ともシステムの理解が強く、どのようにインターフェースを作るのかに長けている人材でした。
また、上司はマーケティングに強く、前の会社でもコンサルをしていて、資格も保有している人物でした。
社内ではsalesforceの仕様を理解している人間はその部署以外になく、ほぼ独壇場のような状態です。

さて、その中で私の役割は何なのか。
生み出せる価値があるのかを模索し始めました。
当時の私は、人材紹介に携わったMBAホルダーという立ち位置で、データにも強いというバックグラウンドでした。

当時の自分の見立てでは、3名のメンバーは独壇場を守るが故に、好き勝手に改修して発信。あとは成果として上司に報告するを繰り返していたんですね。
現場からはなんかよく分からない。分からない部分はデータをデスクトップに落として、自分で作業する。という状態だったんです。
その作業がブラックボックスで、各営業判断で顧客の優先順位を決めている状態でした。
まぁ、あるあるな話です。

そこで自分の役割は、現仕様を組織に定着させること、引いてはマーケティングで獲得した顧客を漏れなく売上につなげること、役割と決めました。
要は、組織とシステムをつなぐ役割を担ったわけです。

ここが私の付加価値です。

仕様を出すのも、機能を作るのも彼らがやります。私の起案ではありません。
ただそれを実行可能なレベルに落とし込み、周りに発信する。それも分かるレベルで。

これはチーム全体の成果から見たときには、大した役割ではありませんが、自分しかやっていません。
そうした付加価値があるというだけでも、自分の強みは分かってきますよね。

そして、周りに話してくれる人という意味で、それに関する仕事が次から舞い込んでくるわけです。
自分が定めた立ち位置によって、自分ブランドが出来上がり、依頼される仕事が決まる。このループを作れたわけです。
それを足掛かりにしつつ、ほかの役割に飛び出していく。それが自分のキャリアを大きくさせていくわけですね。

 

 

優位性の要素とは?

優勢がある状態の定義は見てきましたが、では何が優位性を作るのかをこれから見ていきましょう。

優位性を戦略で考えると、キャリア論を考えるうえで、適しているのはRBVだと思っています。
ちょっとだけ解説しますね。

優位性構築は、競争戦略論の一部で、競争戦略論はいくつかの学派があります。
RBVはそのうちの一つで、「Resorce Based View」といい、企業の持つ固有の経営資源が競争の優位性を構築するという考え方です。
つまり、外部資源の分析よりも、ヒト・モノ・カネ・情報などのリソースで「何を持っているかが優位性を作る」という内部側に目を向ける考え方ですね。

これからその要素を紹介しながら、キャリア論に置き換えてみるので、その要素をご自身が持っているか確認しながら読んでみてください。

 

RBVの紹介

さて、まずはRBVの構成要素を先にまとめましょう。
参考にしているのは、藤田誠氏の経営資源と競争優位性 Resource Based View小史 です。
正直、RBVもいくつか考え方があるので、あくまで一つの見方としてご理解ください。

以下の4つの要素を通して、優位性が保てる「資源ポジション」を作りあげることが重要なんです。

RBVの構成要素
資源の模倣困難性・他社が模倣困難な経営資源の蓄積
代替的資源の入手困難性・入手可能性が低い資源
戦略的価値・資源と戦略的ポジションのつながり
希少性・業界全体で見たときのレア度

それぞれの要素について確認していきましょう。

 

資源の模倣困難性

一つ目の模倣困難性について押さえておくべきなのは、競争優位となる資源が「模倣されにくいこと」です。

模倣が難しいということは、他社が同じ優位性を再現することが困難になり、持続的な競争優位を得ることができるからですね。
逆に、模倣が簡単だとすぐに真似されてしまい、優位性はなくなってしまいます。

例えば、iphoneなんかもそうです。
発売した当初は、裏側の鏡面だったりタッチパネルだったり製品自体の物珍しさと、AppStoreというAppleが厳選した独自のアプリストアに、Appleならではのデザイン性が相まって、異質な存在でした。
スマートフォンがAndroidとして発売した直後も、それらが模倣困難で数年間は競争優位を築いていましたよね。
ネットのビジネスニュースも、「誰がアップルの牙城を崩すのか」とかそんな記事がたくさん出てました。

ですが、徐々にiphoneにないカメラやUSBやら機能が追加され、今や皆がiphoneの真似をするような状況にはありませんよね。
もはや、スマートフォン製品自体の物珍しさもアプリストアもデザインも、製品自体が徐々に模倣困難性を失っていったんです。

競争優位を築くときには、「模倣されにくい」点をどう作りどう維持するのかが重要なわけです。

 

代替的資源の入手困難性

2つ目の入手困難性については、ほかの資源で代替できない特性が必要であることがポイントです。

仮に模倣が困難であっても、別の手段で同じ効果を得られる資源がある場合、競争優位にはならないんですね。

あなたの会社の優位性はなんですか?と聞かれたときに「独自のオペレーションを基盤にしたERP(基幹システム)です」と答える人が割といます。
これは実は割と落とし穴で、独自のオペレーションが何を起点にしているかなんですね。

私が最初に勤めていた農業機械の販売会社でもそう言われていました。
20年近く積み上げて、全国各地でそれぞれの顧客に適したオペレーションを組んでいると。
経験則から生まれた知識であって、模倣も困難だと。

でも、ザモデルが流行して顧客がそれに慣れ、システムの改修に限界がきて、さらには生成AIなどの新機能が追加できず、気づくと、システムごとサンクコスト(すでに支払ってしまい、回収できない費用や時間、労力)になりかけていました。

今やSalesforceを導入して、salesforce社の導入実績にHP掲載されています。
なんてことはない、独自のオペレーションは時代とともに陳腐化し、新しいオペレーションもsalesforceという代替的資源で簡単に入れ替えることができてしまったわけです。

模倣は困難なのかもしれなかったですが、代替できないかはまた別の話なんですね。

 

戦略的価値

3つ目の戦略的価値は、「資源が戦略実行に貢献」し「競争優位をもたらす価値を持っている」ことが大切です。

戦略的価値のある資源というのは、企業の業績や市場価値に直接貢献するものです。
普通の工場とかの単なる資産ではなくて、フラッグシップ工場のような「競争資源」として認識される資産です。

国内では森永製菓の高崎森永工場などが有名ですね。
市場環境に合わせた柔軟な経営、生産体制づくりのために生産子会社化して運営されています。
お菓子作りは市場の好みも変わりやすく、トレンドも割と早いスパンで入れ替えが起こります。
マカロンだったり、タピオカだったり、マリトッツォだったり、ドバイチョコレートだったり。
生産ラインや原料調達など、スケールメリットを出そうと思うとやはり戦略的工場と通常工場は分けるのが正解でしょう。

「世代を超えて愛されるすこやかな職を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぎます」という理念に基づいて新しい価値と感動を創り出す企業であり続けるための打ち手としてのフラッグシップ工場でもあるんですね。

戦略的価値を持つ資産は、普通の資産にはない競争資源としての価値があり、戦略の実行に貢献します。

 

希少性

4つ目の希少性は、競合他社が容易に保有できない希少な資源であることが条件です。

基本的に、市場で広く共有されている資源は競争優位に寄与しません。
希少性を持つ資産としては、優れた技術力やノウハウ、知識や人脈などが挙げられたりします。
事例としては、スターバックスの「居心地のよい空間」と「スタッフが各自で判断して対応する接客スタイル」はよく挙がりますね。

では、そのスターバックスを少し解説しましょう。
スタバは、家庭(ファーストプレイス)や職場・学校(セカンドプレイス)に次ぐ「サードプレイス」として、顧客がリラックスできる空間を提供することを目指しています。
その理念は店舗設計や内装のデザインにも反映され、自然色と間接照明の活用や快適な座席配置、さらには京都など地域に合わせてデザインを変えたりと工夫されているんです。

また、スタッフ(パートナー)は自律的に行動し、顧客一人ひとりに合わせたサービスを提供することを重視しています。
これもサードプレイスとしての居心地やすさを提供するためで、そんなスタッフを作り上げるためにマニュアルレスの接客や現場への権限移譲、スタッフの育成とエンゲージメントへの注力を行っているんです。

空間の提供と、それを支えるスタッフ。コーヒーを提供する店がライバルというより、映画館などがライバル。あくまで空間を提供することが使命。

ライバルのコーヒー店からすると、映画館のようなリラックスを提供する店だとすると、かなりハードルが上がります。
スタバは、「店舗」と「人材」という他社が簡単に保有できない「希少価値のある資源」を持っているわけです。

 

 

キャリア軸への置き換え

さて、ここまでは戦略論としてのRBVを解説しましたが、これをキャリア論に置き換えるとどうなるのかを見ていきましょう。

戦略論キャリア論
資源の模倣困難性社内で自分の付加価値をマネするのは難しい
代替的資源の入手困難性自分の代わりになるモノが手に入りづらい
戦略的価値会社が組んでいる戦略における価値がある
希少性自分の付加価値で働く人が社内で少ない

付加価値の模倣が難しい

一つ目は、付加価値の模倣が難しいことですね。
あなたが社内で発揮している付加価値は、社内の誰かが真似できないものでしょうか。まずそれが大事です。

例えば、取得が難しい資格などがあります。
勉強が大変、時間や金銭的なコストが多くかかる、そもそも合格率が低いなど、資格自体は持っているだけでブランドになり、付加価値となりうるものです。
ビジネススクールに通ってみたり、簡単な資格を複数取ってみたり、難しい「士業資格」に挑戦したり、様々なので自分に合ったスタイルを取りましょう。

また、オリジナリティを出すのも効果的です。
あなたが作った資料が綺麗で独特なのであれば、それはあなたにしか作れないものとして認知され、同じものを求められたときに、あなたにしか依頼がこないでしょう。
これは資料だけでなく、なんでも同じです。
営業の契約の取り方、効率のいいオペレーションの組み方、起案の仕方、集計スキルの突き詰め。

ここでポイントになるのは、自分オリジナルの付加価値を周りに認知されることです。
30代であれば、ある程度経験してきているものもあるでしょう。
もし、その経験がまだ周りに比べて深める余地があるならそれを深ぼって、自分のオリジナルができるところまで向き合ってください。
守破離でいう、離まで届いておらず、創意工夫できるほどの引き出しが少ないのかもしれません。
もう足りてるなら、あとはどんどんオリジナルを工夫して、アウトプットとして周りにアピールしましょう。
自分はこれができる人だと、社内に認知されましょう。

ちなみに、軸の掛け合わせで付加価値を出すという話をしましたが、まずは一つを極めることをお勧めします。
得意な何かに、もう一つ付け足していくという考えの方が構築しやすいからです。
晩御飯の献立も、全部一度に考えるより、何か一品すでに決まっている方が考えやすいですよね。
まずは、地道に一つを武器に昇華できるところから始めましょう。

 

自分の代わりになるモノが手に入りづらい

2つ目は、代替的資源の入手困難性です。
これは、自分が持っている付加価値が別の何かで代替できてしまうかどうかですね。
別のなにかは、システムでもAIでもフリーランスでも、なんでもそうなる可能性があります。
AIを引き合いに出されると生成AIのイメージから何でも代替されそうな気すらしてしまうかもしれません。

この優位性を意識するときに、注目するべきは「獲得の障壁」です。
「手に入れるハードルが高いかどうか」と言い換えてもいいでしょう。

例えば、システム。
あなたのやっている仕事はシステムで代替できるのではないでしょうか。
正直、現段階の技術レベルでもシステムでできない社内業務はあんまりないんですよ。
顧客の見積もり提案だろうが、確認の電話だろうが、契約だろうが、給与計算だろうが、会議資料作成だろうが、本気でやれば代替できるでしょう。
できないのは、有形商材に関することとかでしょうか。それ以外は基本的に半自動化できると思います。

でも、大変なんです。リソースが足りないんです。
「お金も時間も無限にあったらそりゃできるよ」
どの会社でもエンジニアはこれを言います。
そりゃそうだ。無限じゃないのにたくさん注文くるんですもん。

生成AIも一緒です。誰が業務に組み込むんですか?
それにお金を払ってもらえるように誰が設計するんですか?顧客は自分でできるのに?
それらを乗り越えないと導入は進みません。
何もしなければ、付加価値は生まれず、そもそもビジネスとして成り立ちません。
アウトソースも同じですね。

そう、あなたの代わりのレベルにまで持っていくにはハードルが高いんです。

ここで強調しておきたいのは、前の章でお伝えした付加価値をオリジナリティがある段階まで引き上げることの重要性です。
システムにしろ、AIにしろ、アウトソースにしろ、代替のハードルが低いのはオリジナリティが低い、付加価値が少ない業務です。

あなたにしか発揮できない価値を、生成AIでできるようになったからと言って、あなたの価値がなくなるわけではありません。
本当に強いところは同じような価値の中から、オリジナリティを作り上げることができるその能力でもあるのですから。

 

戦略的な価値があるか

3つ目は、会社の戦略で重要な役割を担っているかどうかです。
とはいっても、そこまで肩肘張る必要はありません。

普通に仕事をしていれば、多かれ少なかれ戦略的な価値を担っていると言うことができるはずです。
一番問題になるのは、会社が目指している方向とは違う価値発揮をしようとしている場合ですね。

オリジナリティを出そうとして、会社の戦略とは違う道を目指す人がたまにいます。
特にエンジニアや役職者になると余計にそうした人が増えるように感じます。

ある会社で、エンジニアの責任者CTOの位置づけの人がいました。
その人は会社の方針とは違う道を模索する人で、前職の経験を武器に自分の存在感を出そうとしている人でした。

それ自体は別に問題はありませんが、会社のこれまでの強みが筋肉質な営業なのに、自分が組んだシステムを使わせること、自分が組んだオペレーションに従わせることを前面に押し出してしまったんです。

もともと、話も周りとの関係構築も得意ではない人だったので、営業との軋轢は日に日に強まり、返信レスポンスも悪くなり、自分の正当性を主張し始めて責任転嫁までし始めてしまいました。
営業との折衝の役割がないからだ、システムは悪くない、悪いのは要望を出し切らなかった営業だ、自分のチームにエンジニアとして機能する人が少ない。などなど。

収集がつかなくなり、最後は社長が出てきて、彼が作ったアウトプットを見て、唖然としていたのを覚えています。
「Q:なんでこうしたの」「A:これは営業の要望ですから」
「Q:止められなかったんだっけ」「A:システム機能上はこうするしかないです」
「Q:顧客体験損ないそうな機能なんだけど」「A:要望の顧客体験を実現しようとした結果です。トレードオフかと」
「Q:仕様書は作ってるの」「A:それは企画の仕事ですから」

まぁ、要望を解釈して方向性を決定づけたのも「できますよ」と言って引き受けたのも彼なんですけどね。。。
聞いているだけで地獄の会議でした。こんな人現実にいるんだ。。。と思いました。
もちろん、彼に社内的な優位性はありませんでした。周りから認められてませんでしたからね。。。
彼は彼なりのオリジナリティを出そうとしたんでしょうが、少し我儘でしたね。

会社の戦略や強みを理解せずに、進めたことは優位性には決してなりません。
会社が目指す方向性に合わせて、自分の付加価値のベクトルを合わせることは優位性を確立するうえでも、とても重要なことなんです。
このポイントは絶対に押さえておいてください。

 

自分の付加価値で働く人が社内で少ない

4つ目は、自分と同じ付加価値で働く人の希少性です。
言い換えるのであれば、ライバルの少なさです。

実は、この希少性も少々厄介なポイントでして、あまりに少なすぎても孤立してしまうんですね。
実際にあった例を出しましょう。

社内で、現場のことが分かるマーケター担当の子がいました。
彼女は現場出身で、とても数字に強く、それが買われてマーケティング職へ転換となったんです。

もちろん、社内での優位性はありました。
なにせ、マーケティングで集めた人を最後に売るのは営業なので、どんな顧客を集めると営業が売上にまで繋げやすいかがよく分かっていたんですね。

営業からも、マーケターからも信頼されていました。
ですが、その信頼は板挟みという最悪の形で彼女に伸し掛かってきたんです。

営業はマーケターの気持ちは分かりません。追っているものが売上である以上、目の前の売上が大事です。
一方、マーケターも営業の気持ちは分かりません。せっかく集めた顧客は、売上にすぐにつながる顧客だけではありません。
顧客の温度感別で営業部隊を分けても、そのランク付けに正解はありません。
すぐ買いたい顧客部隊の営業と、ちょっと様子見したい顧客部隊の営業は、お互いに連携してほしいんですが、そこで縄張り争いが起きたりします。
マーケターは集客した人の転換率を見ているので、そんなことをする意味が理解できません。

そうなると、中間にいる彼女には「売上につながる顧客だけ流せ」という営業圧力と、「営業同士で連携させて転換率上げろ」というマーケター圧力がかかり、期待に応えきれずに退職という道を取りました。

彼女と会話する中で、「もっと部隊が多ければ」「もっと理解者がいれば」と言っていたのをよく覚えています。
おそらく営業側にも理解者がいて、マーケター側にも理解者がいれば違ったんでしょう。
そして、それは少なからず同じようなスキルセットになるということでもあります。

希少性があると優位性になるというのは彼女の例からも確実だと言えます。
また、ライバルが少ない方がいいのは間違いありません。
でも、ライバルは少なすぎてもダメなんですね。
希少性が出せる付加価値を作れたら、理解してもらえる仲間を増やしていくとよいでしょう。

ちなみに、念のためにことわっておきますが私が経験した話であって、全ての営業とマーケターがこうではないので悪しからず。

 

まとめ

さて、ここまでキャリアにおける優位性について、解説してきました。
最後にここまでの話をまとめるようにしましょう。

まとめ

  • キャリアにおける優位性の定義は「社内で自分だけしかない価値」を確立させる
  • 戦略論から見ると優位性構築で資源ポジションをとることが大事
  • 以下4つの要素が資源ポジションを支えている
    • 資源の模倣困難性
    • 代替的資源の入手困難性
    • 戦略的価値
    • 希少性
  • キャリア論に置き換えたときに下記のポイントが大事
    1. あなたの付加価値は簡単に真似できないものにする
      • 取得が難しい資格で付加価値を出すのも有効
      • 真似されないためにもオリジナルの付加価値を周りに認知してもらう
    2. 自分の代わりになるものを手に入れるハードルが高くする
      • 付加価値の代替まで持っていくハードルは通常高いはず
      • 付加価値はオリジナリティを出せるところまで持っていく
    3. 会社の戦略上重要な役割を担っている
      • 普通にしていれば、多かれ少なかれ担っているはず
      • 会社の目指す方向に合わせず、オリジナリティを出そうとすると、この価値を損なう
    4. 自分の付加価値で働く人が社内で少ない
      • ライバルの少なさは優位性になる
      • 逆に少なすぎると理解されず板挟みになる
      • 付加価値を理解してもらえるように仲間は増やしておくと〇

ぜひ、社内で自分の優位性を見つけて、楽に働けるような状態を作ってくださいね。

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