「自分の経験値を周りに広めてほしいと言われた」
「部下の経験値をもっと高めてあげたい」
ある程度経験を積んだ30代にとっては、普通に言われるミッションなんですけど、いざやれと言われると、資料にまとめて配布するか、若手を集めて経験談を語ることが多いのではないでしょうか。
でも、なかなかそんなうまく自分と同じような経験値を持った人や伝えたことはできておらず、資料も1か月後には閲覧数は増えておらず「過去のもの」に。
組織ミッションとして取り組んだけど、定着はしてない微妙な結果になってしまう。
よくある話ですし、私自身もどうすればいいか悩んでいました。
その中で、学んできたことをこの記事でお伝えしますね。
経験値獲得のメカニズム

結論から言うと、経験値の獲得は次の4つのステップから成り立ちます。
フェーズ1:個人の挑戦
フェーズ2:経験を積む
フェーズ3:パターンの認識
フェーズ4:他者への継承
それぞれ解説していきますね。

フェーズ1 個人の挑戦

まず、一つ目。個人が挑戦を積み重ねるには「自己効力感」と「知行合一」がカギとなります。
最初に、個人が知識として知った
ことを経験する必要があるんです。
input無くして、outputはありませんからね。
いやだから資料作ってinputさせてるって。と言いたいところですが、そもそも経験するための下地が必要になるということでこの2つが重要なんです。
それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。
自己効力感
自己効力感は、自分がある状況で必要な行動をうまく遂行できると認識している感覚のことです。
自己効力感が強いほど、その行動を実際に行う傾向にあると言われていますね。
心理学者アルバート・バンデューラ氏が提唱した理論で、
彼がやったボボ人形実験という有名な実験では、左右する要因として以下3つが挙げられています。
- 先行要因:行動を起こす前の条件。
- 結果要因:行動の結果から学習したこと
- 認知的要因:ある行動をどう認識しているかという条件
自己効力感はこの中の、「先行要因」に分類される「予期機能」と呼ばれる機能になります。
「予期機能」はさらに「効力予期(自分の能力を予測)」と「結果予期(外的要因を予測)」に分類され、特に効力予期から自己効力感を発見されたと言われています。
ちょっとややこしいですね。
これはつまり、「まだやってないけど、これなら自分でもできる」という感覚を持てるかどうかなんですよね。
「新規営業で受注取ってきて」と言われて、「はい!わかりました」とすぐ言える人と、「いや、ちょっと。。。」と言う人の違いはその感覚にあるわけです。
そりゃ、新規営業できます!という人の方が、教えたことを実践する可能性が高いです。
基礎が出来ている状態でプラスアルファを加えようというわけですからね。
まぁ、本当に基礎が出来ているかは別の問題ですが、、、自己効力感があることで、挑戦の確率が上がるのは間違いないでしょう。

氏は、自己効力感を上げる4つの要素として、以下4つを提唱しました。
- 直接的達成経験:実際に自分が経験した成功体験
- 代理経験:他の人の経験を見聞きしたことによる疑似体験
- 言語的説得:ポジティブなことを何度も聞くこと
- 生理的・情動的喚起:体調を整えたり気分を盛り上げたりすること
自己効力感があまり高くないかもと思う人には、まずは代理体験をさせてあげるのがよいかもしれません。
特に、当時の背景や状況、気持ちなんかも一緒に共有してあげるとより臨場感が出て、疑似体験としての精度が増すことでしょう。
ただ、気を付けていただきたいのは、代理体験もあくまで自己効力感を高める目的であって最終的には本人が経験を積む、試行してみる必要があることです。
「あー、知った知った。」では、経験ではなく単なる知識にしかなっていませんからね。
下地を整えてあげる手段として活用してみてください。
知行合一
知行合一は中国の明代に王陽明が唱えた儒学説「陽明学」の命題の一つです。
「知ること」と「行うこと」は一体であり、実践が伴わなければ真の理解には至らないという考えのことを言います。
王陽明は、知って行わないのは未だ知らないことと同じであることを主張し、
「知は行の始めなり、行は知の成るなり(知ることは行為の始めであり、行為は知ることの完成である)」「行動を伴わない知識は未完成である」としています。

つまり、知ったら実際に実行すること、実行してみて初めて知識として完成するということですね。
まぁ、こう言われると当たり前のことなんですが、そもそもそれをしない人が多いわけです。
その対策として、「こうした考え方がある、実際に実行してみることで初めて意味があるんだ。」と伝えてみるのは有効ですよ。ピグマリオン効果(人から期待されるとその行動をとりやすくなる効果)に近いですかね。
なにせ、昔からある教えであって、先人達も参考にしている人が多い話ですから。
宗教の類に分類されてますが、もともと中国で「どうしたら士官が国を良く治められるか」を考えるための教えなので、私はこれは単に昔の人の知恵だと思っています。
経験を積むという点だけでいえば、「知る→行う」を意識させてみるとよいでしょう。
フェーズ2 経験を積む

さらに経験を積むには、単に挑戦するだけではなく、戦略的になる必要があります。
結論からいうと、「ゆらぎによる試行」と「知行合一」、「自分ブランド」を意識してみるようにしてください。
守破離という言葉がありますが、同じことを同じようにできるようになったというだけでは、初心者の域を脱することはできません。
まず、守れるようになったら、次は破っていかなければなりません。
破るために必要な条件が、「ゆらぎによる試行」と「心理的安全性」なんですね。
加えて、もっと経験を加速させるために「自分ブランド」を確立しておくと効率的なんです。
それぞれ解説していきましょうか。
ゆらぎによる試行
がちがちなルールに縛られた環境で挑戦をしても、経験の幅は広がりません。
ルールは100%縛るのではなく、ある程度の余幅を残しておくとよいです。

3Mではそうした経験促進のための余幅を制度として規定しています。
それは「15%ルール」と呼ばれ、勤務時間の15%を自由な研究に使えるように取り決めたものです。
この文化はイノベーションの発展と同社の成長に寄与し、ポストイット(付箋)などのヒット商品につながったそうです。
そもそも、ポストイットは粘着性の弱い失敗作だと思っていた溶剤の使い道を、考えるところから生まれました。
溶剤の会社からしたら、すぐに剥がれる接着剤なんて使い物にならないというのが常識ですから。
それをああいうメモの形にしたら、使い道があると創意工夫したんですね。
逆に、工場の生産ラインなどは昔、ガチガチの業務で、その業務以外を認めない方針でした。
何よりも生産性が求められる現場です。
自由なことを考える余幅を与えるのではなく、同じ条件のなかで、同じoutputを期待されるので、イレギュラー要素は省く考え方なんです。
ですが、そうすると同じ業務を同じようにこなす人材しかできません。
それしかやってないから当然なんですが、そこに工夫の幅は生まれず、それ以外の業務を実施することはできません。
また、イレギュラーの発生時にも対処力が身につかず、適応力の弱い従業員が出来てしまうことにつながりました。
そうした環境で工場は、トヨタ生産方式や改善の手法が発達してきた背景があります。
私が以前いた会社でも、当初のそうした過ちを繰り返さないように、人材のスキルセットはローテーションだったり、他社の生産方式を外部に研修に行ったりすることで、補強する人事が組まれていました。
自分で業務のルールを作ったり、研修でこうするとよいという原則などを伝える立場にあれば、そうした「自由に使える余幅」を残しておくことを意識してほしいです。
心理的安全性
心理的安全性とは、組織やチームにおいて、自分の意見や気持ちを安心して発言できる状態を指します。
心理的安全性が高い状態では、メンバーは対人関係のリスクをとっても安全だと感じ、意見の対立があっても安心して仕事に専念できる状態になることでしょう。
心理的安全性はハーバードビジネススクールのエイミーCエドモンドソン教授が提唱し、以下の要素に良い影響を与えると言われています。
- エンゲージメントとやる気
- チームのよりよい意思決定
- 継続的な学習と改善の文化
特に、成果が見えない新しい分野や創造的な領域により効果を発揮することが分かってきています。
心理的安全性があって自分の意見をぶつけようとする時、自分の言葉で話しなおす必要があります。
さらに、自分の言葉で話せない部分は理解が出来ていないということでもあります。

つまり、心理的安全性があると、「言われたことをそのままではなく、自分なりに解釈しようとしやすくなる」ということにつながるんです。
仮に、あなたの代理経験を伝えたとしても、それと全く同じケースが目の前で起こるかなんてわかりません。
それに対して、「自分なりにアレンジしてみよう」という挑戦を気軽にしたり、「このケースの場合どうしましょう」がさらっと聞いたりできる関係性があるかどうかなんですね。
そうなると、あなたの教えた内容はさらにいろいろな場面に適用できて、文化に育っていきます。
では、心理的安全性を高めるにはどうするか。
教授は次の4つの方法論を提唱されています。
- メンバーの意見が重要な理由をはっきりと伝える
なぜメンバーの意見や視点が重要なのか、どう影響するのかを説明 - 自分の非を認める
リーダーが自分の犯した失敗を打ち明けそこからどんな学びを得たか開示 - 積極的に意見を求める
オープンに口に出して意見を求める - 生産的に対応する
意見が出たらありがたく前向きにとらえる。「非難」でなく「好奇心」を。
これは関係性の類なので、一朝一夕で身につくものではなく、日ごろから気を付けておくものです。
研修の時だけ実践しても、効果は薄いでしょう。
まぁ、世の中ギャップ萌えなども言われますから、真面目で堅物そうな人が「自分の非を認めて」過去のしょうもない失敗を面白く話してくれた、それだけでも関係性に効果はあるかもしれません。
しかし、実践が日常業務になる以上、日ごろからの関係性の構築はしておいた方がよいでしょう。
上記のような環境でこそ意見は活発になり、個人の挑戦が促進されるので、そうした環境を意図的に作ってみるチャレンジをしてみませんか。
あなた自身の経験のためにも。
自分ブランド
経験を加速させる要素として自分ブランドがあります。
パーソナルブランドとも言われますが、言葉通り自分自身のブランド化で、現代社会では必要不可欠な要素の一つと言えるでしょう。
特に、SNSなどではそれが顕著になっていますが、自分のパーソナル部分をブランド化することで他社と差別化し、資産としていくことを言います。
「自分はこういう人間です」というラベルを貼っておくということですね。
ブランド化による一般的なメリットは以下のようなことが挙げられます。
- 他者との差別化
- 価格競争の回避
- ネットワークの拡大
- 高いリピート率の維持
- キャリアの成長
- 信頼の初期・継続獲得
これがあることで、「自分自身がどんな人間で何ができる人なのかを周囲に認知してもらい、それを認めてもらう」ことになり、徐々にブランド化していくことになります。
そうなると、自分のところに依頼されてくる仕事や経験をその分野に絞ることができ、さらなる経験を加速させていくことができるようになります。

自分ブランド(パーソナルブランド)の高め方は以下のようなステップを踏むとよいと言われます。
- 明確な目標設定を行う
どんな自分ブランドにしていくのか方向性を定める - 自己分析を行う
自分の強みと弱みを洗い出し、何をブランド化できるのかを決める - ターゲット・ステークホルダーを特定する
どんな人に向けてその強みを発信していくのか、何を求めているのかを確認する - 一貫性のあるメッセージを発信する
自分に何ができるのか、アウトプットを周知する - コミュニティに参加する
情報収集と情報発信のために、コミュニティに飛び込む
仕組みを作る側が気にしておきたいことは、一貫性のあるメッセージとコミュニティの創設ですね。
具体的には、エバンジェじゃありませんが、それを普及する人を各グループで任命して、その人にノウハウや考え方を共有して、専用のグループチャットを作るなどはよくやることなので、ぜひ試してみてください。
特に、自分が何ができるのかの発信が非常に重要で、その魅力化のために努力できるかどうかが分かれ目になることは押さえておいてください。
フェーズ3 パターンの認識

前のフェーズで積んだ経験を定着させていくフェーズになります。
経験をしただけでは、ダメできちんとスキルにつながるように振り返っていくことが大事ですよね。
枠組みとして、認識することで次にそうしたケースに出会ったときにすぐに使えるようになるのですから。
これについては、別記事でも解説しているので参考にしてください。
ですが、ただただ振り返るだけでは効果は薄く、経験をしたことに気づくために「受容体としての知識」があると効果は加速します。
さらに、経験の内容が自分なりの解釈で、どんどんズレていく可能性もあるので、「有識者のフィードバック」「偏ったパースペクティブの排除」で修正していくことも割と重要です。
ではでは、それぞれ詳細を見ていきましょう。
受容体としての知識
経験を経験として認識するのに一定の知識が必要になります。
ちょっとピンと来ないかもしれないのでまずは例で説明しますね。
心理学にダブルバインドという概念がありますが、これは口で言っていることと実際に行動に起こすことなどが食い違ったメッセージとなり、相手が混乱して閉塞状態に陥ることを言います。
母親が、あなたのことが大好きと子供に伝えた後に、子供が母親のところに遊びにいくと嫌な顔をするといった具合です。
これも母親がこうした知識を持っているだけで、その何気ない状況を一つのケースとして捉えることができ、改善につなげることができます。
しかし、そうした知識がなければ、ただの日常の一コマとして流れてしまい、大好きと伝えた事象と、遊びにいくと嫌な顔をするという事象は繋がることはありません。

業務においても同じです。
ミーティングのファシリについてのノウハウを提供したとして、それをミーティングの時だけに適用しているのであれば、勿体ないですね。
同様の経験は、後輩との会話の中でもできるかもしれませんし、飲み会の席でもマワシはあるのでそうした経験はできるかもしれません。
これは、同じような事象から共通項を見つけて一般化していく帰納法という考え方に近いですね。
帰納法も普段から事象グループのストックがなければ、いざ考えるときに使えませんから。
知識があることでその状況を認識することができ、経験値として積み上げることができるということです。
有識者のフィードバック
よくコーチングと言われるように有識者のフィードバックも重要な要素の一つです。
自分自身で振り返りを行うだけでは、抜けも漏れもあるかもしれませんし、何より非常に限定的な振り返りになっている可能性があります。

有識者にフィードバックをしてもらうことによって「知見を修正する」ことができ、「新たな見方」をして更なる学びを得ることができるかもしれません。
営業が契約がうまく結べなかった場合、「顧客との相性が悪かった」と振り返っているケースをたまに聞いたりします。
ですが、先輩社員が営業に同行してトークを一緒に確認すると、「クロージング」が甘かったり、ただの準備不足だった。なんてことはよくあったりするんですよね。
「顧客のとの相性が悪い」なんて、そんなことない。自分の努力でもっと何とかできる。って、怒られてしまうパターンです。
ただね。その場合でも本人は一生懸命やってるんですよ。
自分なりにやってみた結果、気付けていない部分があっただけで。
自分ではできているつもりでも、できていないこともありますし、
経験した内容を、自分よりも経験豊富な有識者に見てもらうことで、自分では気づかなかった視点から、フィードバックをもらえるかもしれないことはよくあるんです。
可能であれば、有識者として適度にフィードバックをしてあげることで、気付けていないことに気づかせてあげるとよいでしょう。
偏ったパースペクティブ(見方)の排除
偏った見方を排除することも非常に重要です。
バイアスと言い換えても構いませんが、せっかく経験したことも特定の見方で歪めてしまうと、経験値は偏った方向に傾いてしまうでしょう。
ある会社のあるプロジェクトで、勤続年数と生産量に相関があるかを導出したことがあります。
その結果、勤続年数が高い人ほど生産量が低いということが示唆されるデータが出てきました。
そのデータを見て、当時の上司は勤続年数が高いベテランほどサボっているという結論を出し、社長が激怒していました。
しかし、本当にそうなのかなと思ったので周りにヒアリングをしてみると、難易度が高く質の高い仕事をしていて、量が低下しただけのベテランもいたのです。
ここで、得た知見は上司の見方だけで、そのデータを捉えてしまうと、そのプロジェクトはそこで終わりで、私の経験も相関を導出しただけで終わりでした。
ですが、他の見方も模索し、ヒアリングをかけたことで、違う見方につながり、相関という数字上のつながりだけでなく、現場現物を確認することを学ぶことにつながりました。
偏った見方をなくすために、フレームワークや疑いの視点を持つことがオススメです。

なかなか自分一人では難しいですが、仲間同士がいればハードルも下がるので、経験を話し合う場を作って考察してみるとよいでしょう。
まぁ、そんなに形式ばらなくても、飲み会でこんなんあったんだけどさ。と会話してみるだけでもいいんですけどね。
振り返りの時間を取り、他の見方ができないかを確認してみるとより経験が深まることでしょう。
フェーズ4 他者への継承

さて、最後のフェーズですね。経験値は他者に継承していくことでさらに広がりをもつ「継承」です。
継承は自分自身の理解を深めてくれることにもつながり、周りが同じような経験をしたときにさらに自分の経験を拡張してくれることにもなります。
ですし、一人だけで経験してレベルアップしても、周りがそれについてこれなくて、理解されずに孤立するかもしれませんから。
他者に継承するときには分かりやすくしてあげる必要があります。前のフェーズの冒頭で紹介した「フレームワーク化」(枠組み化)が必要になるわけです。
また、周りに展開するときには、「スパイラルの拡がり」を意識してみてください。
単一の拡がり方だと、小さくまとまってしまいますからね。
様々なベクトルでナレッジを伝播していきましょう。
フレームワーク化
フレームワークとして枠組みにしておくことで、自分の理解を深めることになるでしょう。
フレームワークと言っても、ビジネスフレームワークのように大それたイメージを持つ必要はありません。
次にその仕事のパターンを実践するときのために、何をすればよいか・何を考えるべきなのかを一まとめにしておくだけでよいです。

そうすることで、他の人が参考にすることができるようになり、さらなる拡がりにつなげていくことができるでしょう。
ただし、その際には「正当性の判断」をする必要があることは注意です。
組織として身に着けるべき内容なのかどうなのか、そもそもそれが正しい経験値の積み方なのかを吟味する必要があるので、必要なんですね。
スピード感を重視するチームの場合、じっくり熟考する時間を取る経験を積んでもそれは推奨されないでしょうし、その経験値はデメリットにしかなりません。
システム部門が営業のようなことを偶々行って積んだ経験を周りに周知しても使うタイミングはないでしょう。
周りと状況に合わせて、フレーム化の正当性判断を行ってみるようにしてください。
スパイラルの拡がり
全容を先にお伝えすると、
ナレッジの拡がりは次の三つの次元が螺旋上に繰り返されることで拡がりをもつとされています。
これは野中郁次郎教授の「知識創造企業」の中で、提唱されている話ですね。
- 存在論的次元:異なる視座への理解
- 時間的次元:時間軸
- 認識論的次元:ある程度体系化された知識
これらがぐるぐる回ることで組織上でナレッジが広がりを持つのです。
共有された知識が拡がりを持つためにも、このスパイラルをぐるぐる回していくことを念頭に置いておくとよいでしょう。

スパイラルの拡がりを持たせるには、まずナレッジ共通の仕組みを考えましょう。
前述したフレーム化ができたとしても、周知するのに労力がかかるようでは、経験を広げようというモチベーションは沸かないでしょうから。
このナレッジ共通の仕組みが上手くいくと、先の次元でいう「存在論的次元」を、強制的に参加者に与えることになるでしょう。
仕組みを考えるうえでのポイントとして、「誰が」「誰に」「どのように」共有できるかを考えてみてください。
slackを使っているのであれば、チャンネルという形で投稿できるような場所を作っても構いませんし、
googledriveを使っているのであれば、Gmailで共有することをルール化しても構いません。
場所を作って、参加のハードルを下げておくだけで、それが面白いと思えたら、参加者は必然的に増えていくものです。
まずは、気の許せる仲間たちで、実際に使ってみるとよいでしょう。
組織によって向いている向いていないがあるので、試行錯誤して適応させてみてくださいね。
まとめ
さて、この記事ではナレッジを定着させるために、「個人から組織への伝播」に必要な要素を、フェーズ別に解説してきました。
下記にまとめておきますので、確認してくださいね。
まとめ
- 個人として挑戦に進むためのポイントは、「自己効力感」と「知行合一」
- 経験を積むためのポイントは「ゆらぎによる試行」と「心理的安全性」と「自分ブランド」
- パターンの認識のポイントは「受容体としての知識」と「有識者のフィードバック」と「偏ったパースペクティブの排除」
- 他者への継承のポイントは「フレームワーク化」と「スパイラルの拡がり」

挑戦 > 経験+α > 定着 > 教えるの順番と捉えるとわかりやすいでしょうか!
経験を効率よく積んで、組織のレベルをアップさせていきましょう!
コメント