今からでも遅くない!評価制度を知ることで評価を上げるきっかけに

【現職】

「会社から適切に評価されている気がしない」

「転職したくないけど評価は上げていきたい」

このような悩みは、会社の人事制度を理解することで解決できるかもしれません。
評価制度について理解しないことは、スポーツでルールを理解せずに努力するのと同じです。
昇進を目指すのであれば、ルールを理解し行動に落とし込んでいくようにしましょう。

 パーマ課長
 パーマ課長

評価制度を知ることで人事評価についての理解が深まり、評価を上げるきっかけにしてくださいね!

人事制度とは

そもそも人事制度とは何で、何のためにあるのでしょうか。

人事制度は文字通り、人事が作る会社の人に関わる制度を規定したものです。

その中には、「給与」や「採用」「教育」などさまざまな要素が含まれ、就業規則や処遇などとして目に見える形に制度化されていることでしょう。
その裏側ではきちんとルール化されて一般社員には見えないようにされたルールが存在しており、
それが従業員が働くうえでのベースに存在しています。

人事制度の各種制度は見えるように発信される

では、なぜそのような制度を作っているのでしょうか。
従業員満足を高めるため?ホワイト企業を目指すため?給料の適正化を図るため?

それらもあるでしょうが、人事も会社組織の機能であり、営利目的に貢献せねばなりません。
ですが、人事単体では稼ぐことができません。
では、人事はお金稼ぎにどのように貢献するのでしょうか。

簡単に言うと、人事は「制度を通して稼いでくれる人材を作る」ことで、会社に貢献しています。
ここで言う「稼いでくれる人」とは自社で活躍できる適した人材であり、
人事のミッションは「自社でほしい人材を確保すること」ということができます。

つまり、人事制度は「自社に適した人材を作ること」にあり、そのために人事制度が存在しています。
何を当たり前のことをと感じられるかもしれませんが、一つ一つの制度に注目すると見失ってしまうポイントなので、最初にお伝えしておきました。

人事制度は「会社でほしい人材を確保する」ためのもの

評価制度も人事制度の一つ

結論から言うと、評価制度も人事制度の一つで、各種制度とつながりがあります。

まずは、人事制度にはどんな制度があるかを下の図をご覧ください。

評価制度は人事制度の一つ

人事制度は、入り口に「採用制度」があり、出口に「退職制度」があります。
入社後の制度としては
  「配置制度」「評価制度」「報酬制度」「教育制度」
の4つがあり、それらが連関することで、自社でほしい人材の確保につなげています。

それぞれ説明すると
 採用制度:従業員を雇い入れる際の基準や段取り、雇用契約ルールなど採用時の取り決め
 退職制度:従業員が退職する際の段取りや源泉徴収票、出戻り(アルムナイ)など退職時の取り決め
 配置制度:人員の配置に入れ替え、その時そのメンバーで最も成果が出る配置に最適化する制度
 評価制度:人事評価の評価方法や評価者を定義し、従業員が適切に評価されるようにする制度
 報酬制度:従業員の仕事の成果や貢献度に応じて、報酬を贈与する制度
 教育制度:従業員の職級とスキルに応じて、それを身に着ける教育手段を整理した制度

のことで、評価制度はこの中の一つになります。

前の章でも解説した通り、人事制度は「自社でほしい人材を確保する」ミッションのもとで人事が策定するものです。

これら6つの制度をコントロールすることで、人事は自社にふさわしい人材を作るもしくは確保することを目指しますので、それぞれの関連性は深まり、会社独自のものになっていきます。

報酬制度だけを強めたら、良く機能すれば自己投資に使って、他従業員よりも頑張ろうとする競争につながるかもしれません。
逆に、「これだけもらえるからいいや」とサボってしまうリスクもありますが、そこは採用制度でそうした人材をそもそも取らない、配置制度で報酬が低い部署に移すなどのルールでカバーされる
といった具合です。

評価制度単体というよりは、人事制度全体のバランスが重要になるということですね。

評価制度は人事制度の一つであり、他の制度と連動して目標を達成するものである

評価者は人事ではない

人事が評価制度を作るのですが、評価者は人事ではありません。
評価者はもちろん所属部署の上司になります。

人事の仕事はというと、制度を作るという業務や制度を動かす仕組みづくりであり、
異動の案や評価制度などはその担当部署が策定するのが普通です。

人事は評価はせずにルールを作る

それは人事に能力がないとかそういうことではなく、
その部署の仕事や状況を把握しているのは、担当部署が一番だからという理由です。

スポーツで言うところのルール作りは人事が行い、
実際にプレイするのは各担当部署で行うというイメージでの運営になります。

人事が評価制度を作るけど、評価者ではないというのは、そういう意味です。

評価者である上司の攻略については別記事で解説しているので、そちらも参考にしてください。
関連記事:知らないと損?!上司視点から人事評価を攻略する

評価制度を作るのは人事だが、評価者は人事ではない

評価制度を知って攻略する

評価制度を知ることで、評価を上げるための行動が見えてくるようになります。
ここから一緒に確認していきましょう!

評価制度策定のステップ

評価制度構築のステップは一般的に下記のような形をとります。

①現状分析・課題整理
②大方針の決定
③評価制度設計
④制度導入に向けたテスト
⑤評価研修の開催もしくは資料展開
⑥評価者研修の実施
⑦本運用
⑧定期課題整理

ここで重要なことは2つで、
 ・①ではどこかで問題が生じている
 ・②もしくは③で社長承認になる(人事部に一任されていたら異なる可能性はある)
です。

そこから言えることは、
評価制度を策定もしくは改定することイコール、ズレか課題を解消するために会社全体として取り組んでいることであり、
それはつまり、人事制度は会社からのメッセージでもあると捉えることができるのです。

自社でほしい人の定義

「自社でほしい人」はどんな風に決めるのでしょうか。
それを解説するには戦略を解説する必要があるのですが、この章は補足なので飛ばしても構いません。

3C分析からKSFを出して、HRMへ

まず、企業の究極の目標はゴーイングコンサーン(存続し続けること)と言われます。
そして、戦略は、基本的に外部環境から確認していきます。
3C分析と言われるフレームワークを聞いたことがないでしょうか。それが外部環境のFWです。

3Cはまず、市場から顧客を確認し、顧客購買要因を設定
その後、競合を見て彼らができていない部分からKSF(主要成功要因)を見て、自社を見ながら再調整します。

つまり、KSFの導出がそのゴールになるのですが、それはいったん戦略のお話で、人事が設定する話ではありません。
また、戦略目標という形で経営企画が考えていたとしても、これらの内容がどのような形で展開されるかは会社次第です。
もしかすると、そのまま展開されるかもしれませんし、KSFだけ戦略目標として展開されるかもしれませんし、組んでないかもしれません。

ですが、通常Human Resorce Managementシステム(=HRMシステム、前述の6制度の循環のこと)を組むのであれば、KSFと結びつける形で考えられます。

会社が掲げる姿と社員の働き甲斐をリンクさせる

評価制度を考えるときは、会社が掲げる姿と社員の働き甲斐をリンクさせます。

会社が掲げる姿はKSFから導出されたもので、
社員の働き甲斐はアンケートや調査などを通して見つけたりします。

場合によっては、仮説を立ててやってみるなどのことはあるかもしれません。
具体的には、評価項目の基準を強化緩和させたりと「基準に強弱をつけていく」か、項目自体を「追加・削除する」ことになります。

ですので、評価項目は「会社が掲げる姿」すなわち「会社がやってほしいこと」寄りの項目と
「社員の働き甲斐」すなわち「従業員満足」寄りの項目に分かれるでしょう。

評価制度の一般的な項目は

評価制度には下記のような項目が一般的です。
これらの中で、どの分野が自社で最も重視されているのかを確認してみましょう。

1. 業績・成果に関する項目

  • 目標達成度: 設定された目標に対する達成状況。
  • 売上や利益貢献度: 売上高、利益率、コスト削減など、具体的な数値成果。
  • 生産性: 時間あたりの成果や効率性。

2. スキル・能力に関する項目

  • 専門知識と技術: その職務に必要なスキルや知識の習熟度。
  • 問題解決能力: 課題を見つけ、解決するための思考力や実行力。
  • コミュニケーション能力: 同僚や顧客との連携や意思疎通の効果性。
  • リーダーシップ: チームを率いる力、メンバーを動機づける力。

3. 行動・プロセスに関する項目

  • 業務態度: 責任感、勤勉さ、柔軟性、積極性など。
  • チームワーク: 他者との協力や協調性。
  • 規律遵守: 会社のルールや倫理観を守る姿勢。
  • イノベーション: 新しいアイデアやプロセスの提案・実行。

4. 成長・将来性に関する項目

  • 自己成長意欲: 新しいスキルや知識の習得への積極性。
  • キャリア志向: 将来的な目標設定や会社への貢献意識。
  • フィードバック対応: 上司や同僚からの意見を受け入れる姿勢。

5. 対人関係に関する項目

  • 顧客対応力: 顧客満足度を高める対応や信頼構築のスキル。
  • 同僚との関係性: 職場内での信頼感や協力体制の構築。
  • クライアントやパートナーシップ管理: 外部との関係構築能力。

6. コンピテンシー(職務特性)評価

  • 職務特化能力: 特定の職種や役割に応じた固有スキル。
  • 職務要件適合性: 配置されたポジションに適合しているかどうか。
  • 実務経験活用: 過去の経験を現在の仕事に活かす能力。

7. 定性的評価項目

  • リスク管理: 問題発生時の適切な対応やリスク予測能力。
  • 創造性: 独自のアイデアや解決策の提案。
  • 感情知能(EQ): 自己管理や他者理解に基づいた感情コントロール。

8. 定量的評価項目

  • 数値目標達成率: 売上、コスト削減、KPI達成率など。
  • ミス率: 仕事の正確さを表す指標。
  • 納期遵守率: スケジュール通りに業務を遂行する能力。

これら以外にも、会社独自の基準を設けることがあります。
一般的でない項目の場合は、会社が特に重視して、わざわざ入れた項目なので、より注目してみるとよいでしょう。

評価基準から会社が評価する人材像を知る

評価基準で強く出ている部分、特に「従業員満足寄り」ではなく、「会社が求めること寄り」の項目に注力すると、社内での評価は各段に上がりやすくなります。

もちろん、会社によって評価や制度の発信の仕方が異なるので、分かりやすく確認することができないかもしれません。

しかし、人事の目標は「会社にほしい人材を作ること」である以上、何かの形で発信はしているはずです。

何よりも、評価基準を意識した行動をとることが重要ですので、ぜひ会社の中で、そうした発信内容を確認してみるようにしましょう。

評価制度が見直される瞬間とは

そんな人事制度でも問題が起きていれば変えなければなりません。
見直しが必要になる瞬間とは
 ①組織の戦略目標が変わったとき
 ②社員の働き方や職種の変化があったとき
 ③評価制度が公平でないと感じられた時
 ④人材の定着や採用に影響が出たとき
 ⑤業界や社会のトレンドの変化があったとき
があります。

評価制度の見直しは、従業員からすると、再活躍できるチャンスが出るということであり年収を上げるチャンスになります。
ルール改定によって、チャンスをもらえる者が出てくるところは、スポーツのルールと同じですね。
これからそれぞれ見ていきましょう。

組織の戦略目標が変わったとき

企業の戦略目標が変わると、それに対応した人材のスキルや行動が求められます。

たとえば、以前は製品開発が中心だった会社が、サービスやデジタル化にシフトした場合、評価基準もそれに合わせて変わる必要があります。

新しい戦略が求める方向性(顧客中心のアプローチ、イノベーションの促進、効率化など)に合致する形で社員を評価するために、評価制度の見直しが行われます。
このような変更があった場合、社員のパフォーマンス評価が新しい戦略にどれだけ貢献しているかを重視する方向にシフトします。

社員の働き方や外部環境に変化があったとき

働き方の多様化(リモートワーク、フレックス制度の導入など)や新たな職種の創出は、評価基準に大きな影響を与えます。

例えば、リモートワークを行う社員とオフィス勤務の社員で業績の見え方や仕事の進捗が異なる場合、これを公平に評価するための新しい基準が必要になります。

また、職種が細分化したり、新たなスキルセットが求められる場合、それに合わせた評価基準を設けなければなりません。
このため、評価制度は柔軟に変更されることがあります。

評価制度が公平でないと感じられたとき

社員が「公平ではない」と感じると、モチベーションやエンゲージメントの低下を招きます。

例えば、ある部署の評価が優遇されている、特定の人物にばかり好意的な評価がされているといった状況は、組織全体の士気を低下させる原因となります。

公平性が欠けていると感じられるタイミングで、企業は評価制度を再評価し、公平な評価基準を再設計する必要があります。
透明性の高いプロセスを整備することで、社員の信頼を回復し、モチベーションを向上させることができます。

人材の定着や採用に影響が出たとき

人材が定着せず、優秀な社員が次々に離職する場合や採用活動がうまくいかない場合、評価制度の見直しが求められます。

評価制度が社員の貢献度に見合った報酬やキャリアの成長を提供していないと、優秀な人材が流出するリスクが高まります。

企業は、報酬や昇進、キャリアパスの明確化などを評価制度に組み込むことで、人材の定着を図り、優秀な人材を引き寄せることができます。
このような問題が顕在化すると、評価制度の刷新が急務となります。

業界や社会のトレンドの変化があったとき

業界や社会のトレンドの変化が企業の運営に直接影響を与える場合、そのトレンドに対応するために評価制度も変わる必要があります。

例えば、企業が社会的責任(CSR)を強化し、持続可能性に取り組む場合、社員の評価項目に社会貢献活動や環境への配慮が加わることが考えられます。

また、テクノロジーの進化や新たな規制、リモートワークの普及など、社会的な要因も評価制度に影響を及ぼします。
これらの変化に適応するため、企業は評価制度を再設計し、業界の競争力を保ちつつ社員の行動や成果を適切に評価する必要があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました