「譲れないほど、強い感情なんてない」
「こだわりというほど、こだわりはない」
このように感じる人は、人に何かを譲ってしまう優しい人かもしれません。
そんな人でも、こだわりやマイルールはあるのはないでしょうか。
30代では、知らず知らずのうちに、成功体験が積もり、自分の中にそうした価値基準が形成され始めていることが多いです。
バイアスにも武器にもなりますので、自分の価値観に沿ったキャリアを歩めるように、一緒に言語化していきましょう。

この記事では、自分がどうしても「譲れないこと」の見つけ方を解説していきます!
譲れないことの探し方を重点的に解説するので、引っかかる部分がないか探してみてくださいね!
譲れないことは経験から獲得した価値基準
譲れないことは、自分の価値基準で、それらは今まで生きてきた経験が積もった結果です。
それに反した内容が発生したときに、譲れないと反応が発生するわけですね。
例えば、自分の車に乗っているときにサイドブレーキを入れない知人がいます。
私は信じられないと、入れようよと伝えましたが、「P」に入ってたら大丈夫と彼は絶対に入れようとしませんでした。
いや、絶対に良くないですし、未だに理解はできないんですよ。
でも、彼は入れなくても大丈夫という日常の経験があったんでしょうね。
そこは譲りませんでした。
「サイドブレーキは入れなくても大丈夫」という認識に反して、「サイドブレーキを入れなさい」と言われたことで、反発が生まれた結果です。
加えて、ここには「当たり前のことを注意されるのが嫌」という価値観もあったかもしれません。
その裏には「自分は常識人だから、常識は分かっている」というのもあるかもですね。
つまり、その人が生きてきた複数の価値観が絡み合って、「譲れないこと」が形成されているわけです。
振り返り次第
とすると、これは「価値観が操作」できればいいわけです。
もう少し踏み込むと、日常で得た経験を「どのように振り返るか」によって、それが価値観につなげることができます。
先ほどの例でいう「サイドブレーキをかけない」→「特に何も発生しない」という経験をしたときに、それをどう捉えるかなんです。
「偶々大丈夫だった」なのか「なんだ。問題ないな」なのか、その経験をどう捉えるかによって、価値観は変わります。
そして、その価値観の捉え方は、また別の価値観が影響を及ぼします。
「Pでアクセルを踏んでも前進しない」「自分で考えたことはある程度正しい」などの認識があると、そうした経験につながります。
逆に、「プロの言うからには何かある」という考えを持っていると、上記のような経験をしてもサイドブレーキはかけるはずです。
ポイントなのは、この別の価値観は、意識して変えられるところです。
「自分で考えたことはある程度正しい」よりも「プロの言うことは正しい」に思考を切り替えたらいいんです。
客観的に、自分の思考傾向に気づけくことで、実は価値感はある程度までコントロールできるんですね。
「譲れないこと」を見つける方法
ここまで「譲れないこと」は価値基準で、ある程度コントロールできるという話をしましたが、それは未来の話です。
これまでに積もり積もった価値基準を確認するための気づきポイントをここから紹介します。
こんな経験あったななど、思い当たることがないか確認して下さい。
無かったら、期間を決めて少し意識してみてください。
もしかすると、引っかかる出来事があるかもしれません。
引っかかったところを見つけたら
STEP1「出来事」=WHAT
STEP2「なぜそう思ったのか」=WHY
STEP3「譲れない価値観は何か」=VALUE
の順で考えてみると気づきやすいですよ。
コツとしては、
・STEP1から2だけでなく、2から3に進めるときも「なぜ」と問いかけてみる
・STEP3でSTEP1より、抽象度を上げた表現にしておく
この2つを意識するとやりやすくなります。
それぞれで例をつけているので、参考にしてみてください。
強い感情が湧き上がる瞬間に気づく
「譲れないこと」は、自分の価値観に反する出来事や状況に直面したときに、強い感情として表れるものですので、
- 怒りや違和感を覚えたとき
- 「これだけは許せない」と感じた瞬間
- 怒りや悲しみ、不快感を覚える状況に直面したときに明確になる。
- 「これだけは守りたい」という熱い思いがある。
こうした感情が大きく動いた場面を振り返ると、自分の譲れない価値観が見えてくるかもしれません。
例:
STEP1(WHAT) 列で並んでいるときに横入りをされたこと
STEP2(WHY) 他人の迷惑を考えずにルールを守らないこと
STEP3(VALUE) 他人に迷惑をかけないこと、ルールを守ること
大切にしているルールや習慣がある
「これだけは毎日欠かさない」「こういう状況では必ずこうする」という行動には、自分の譲れない価値観が反映されることが多いです。
- 決して疎かにしない習慣や行動
- 他人から見て些細なことでも、自分にとって重要なルール
日々の行動パターンを観察してみることで気づけることもありますよ。
例:
STEP1(WHAT) 朝に毎日欠かさず散歩をする
STEP2(WHY) 健康のために運動をするため
STEP3(VALUE) 健康でいたい、体を動かせるようにしておきたい
選択の際に基準にしているもの
大事な選択をするときに「これだけは外せない」と感じる条件や基準が、譲れないこととつながっていることもあります。
- 転職や引越しなどの大きな決断で、最優先した条件
- 人間関係で「こういう人とは付き合いたい」と思う基準
- 仕事や人間関係での判断基準になること
- それに反する行動は自然と避けること
選択の背景にある価値観に注目してみると、変わらずに大事にしている譲れないことに出会うかもしれません。
例:
STEP1(WHAT) 新しいことにチャレンジする人と一緒にいたい
STEP2(WHY) 一緒にいると好奇心が満たせるから
STEP3(VALUE) 好奇心が満たせること
妥協できなかった経験を振り返る
過去に「ここだけは譲れない」と感じて、妥協を拒んだ経験はありませんか?
- そのときに守りたかったものは何か?
- 妥協しなかった結果、得たものや失ったものは何か?
- たとえ不利な状況になっても、守ろうとする。
- 妥協すると自分を責める気持ちが湧く。
こうした経験には、自分の譲れない価値観が反映されています。
例:
STEP1(WHAT) 結婚式は海外で挙げることにこだわった
STEP2(WHY) 一生に一度の結婚式は憧れの場所で挙げたいから
STEP3(VALUE) 記念になることは後悔しないようにしたい
他人に対して期待すること
他人に対して「こうしてほしい」「これだけは守ってほしい」と感じることも、譲れない価値観の表れとして出てきたりします。
- 他人に求める態度や行動(例:誠実さ、時間を守ること)
- 期待が裏切られたときの感情
他人への期待を通じて、自分が大切にしているものが見えてくるかもしれませんよ。
例:
STEP1(WHAT) パートナーのご飯の食べ方が汚かった
STEP2(WHY) 一緒にいると恥ずかしいから
STEP3(VALUE) 最低限の教養ができていることは大事
他人の評価に左右されない
絶対譲れないことは、他人の意見や評価に関係なく、自分自身で「大切だ」と感じるものです。
- 他人が反対しても、その価値観を貫く。
- 「自分が納得できるか」が最優先。
周囲の意見に惑わされない強い信念があれば、それがあなたの譲れないことではないでしょうか。
例:
STEP1(WHAT) 東京に住むのは危ないし高いからと親に反対されたけど上京した
STEP2(WHY) 東京は情報と人が集まるところだから
STEP3(VALUE) 最新の情報に触れること、様々な人に関わることが大事
達成感や満足感を得たときの理由
「譲れないこと」は、自分にとって満足感や達成感をもたらす行動や結果にも現れます。
- 「これをやったから充実感を得られた」と感じたこと
- 達成感を得るために必要だった条件
ポジティブな体験を振り返ってみて、なんでそれが満足感があったかを考えてみましょう。
例:
STEP1(WHAT) 会社の忘年会の幹事をやり切ったこと
STEP2(WHY) 忘年会に向けて準備を一生懸命頑張った、忘年会の参加者が満足してくれた
STEP3(VALUE) 一生懸命頑張ったこと、それが認めてもらえたこと
ストレスを感じる状況
感情に着目するのであれば、ストレスや不満を感じる状況を分析することも非常に有効です。
- ストレスを感じた場面で、自分が何を求めていたのか?
- どんな状況ならストレスを軽減できたのか?
ストレスの原因を探ることで、譲れない価値観が浮かび上がるでしょう。
例:
STEP1(WHAT) 同じ部署のおばさんが同期の悪口を言っていたのを聞いたとき
STEP2(WHY) 同期も悪いが、年上だから多めにみてほしかった
STEP3(VALUE) 同期は大切にしたい(同じ部署<同期)
自己のアイデンティティと結びついている
絶対譲れないことは、自分らしさを形作る重要な要素ですので、アイデンティティの深堀でも見つけることができるでしょう。
- それを守ることで「自分らしい」と感じられる。
- 譲ると「自分ではなくなる」と感じるほど重要。
自分のアイデンティティだと言えることがあれば、そこから譲れないことを導くことができます。
例:
STEP1(WHAT) 自分は嘘はつかない
STEP2(WHY) 嘘をついても表面上の取り繕いにしかならないから
STEP3(VALUE) 正直であること、誠実であること
どんな状況でも一貫している
環境や状況が変わっても、譲れないことは価値観や信念を揺るがせません。
- 職場でも家庭でも同じ基準で行動する。
- 時間が経ってもその信念が変わらない。
そのような一貫性があれば、「絶対譲れないこと」だと言えるでしょう。
例:
STEP1(WHAT) 相手にお金は借りない
STEP2(WHY) お金の貸し借りはトラブルにつながるため
STEP3(VALUE) 金銭管理は自分でする
人生の優先順位の上位にある
「絶対譲れないこと」は、自分の人生において最も大切なもののひとつです。
- 他のものを犠牲にしてでも守りたいと感じる。
- 他の選択肢よりも優先順位が高い。
そうした何よりも優先していることがあれば、それが譲れないことになるでしょう。
例:
STEP1(WHAT) 毎年北海道に旅行に行く
STEP2(WHY) 旅行に行くことで新しい発見と気分転換ができる
STEP3(VALUE) 定期的な発見と気分転換は譲れない
ちょっと小難しい話をすると、
この譲れないこと領域には「キャリア・アンカー」という理論があります。
この概念は、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院名誉教授でもあるエドガー・シャイン氏が提唱したものです。
「動機」 :何をしたいのか
「コアコンピタンス」 :何が得意か
「価値観」 :何が大切か
この3つの領域の重なりから、タイプを8つに分類する考え方です。
それぞれ
タイプ①:専門・職能別能力
仕事では専門領域を発揮したいタイプ。
専門性を活かした挑戦が◎
タイプ②:経営管理能力
高い地位と責任のある仕事をしたいタイプ。
マネジメント路線を目指すべき。
タイプ③:自律・独立
自分のやり方で進めたい、納得感を求めるタイプ。
プロセスに自由度があると◎
タイプ④:保障・安定
雇用や仕事の安定を望むタイプ。
あんまり大きな変化が起こらない職場がマッチ。
タイプ⑤:起業家的創造性
会社や組織に依存せず自分で意思決定したいタイプ。
新規事業などリスクをとると◎
タイプ⑥:奉仕・社会貢献
金銭よりも精神的な報酬にやりがいを感じるタイプ。
社会貢献を感じることを重視。
タイプ⑦:純粋な挑戦
自分を試して困難克服したいタイプ。
解決困難なテーマを好み、特定の仕事や職種にこだわりはない。
タイプ⑧:ライフスタイル
自分のライフスタイルを重視するタイプ。
仕事とプライベートのバランスが取れることが重要。
に分類されるとします。
という紹介はしたものの、これもカテゴライズあるあるで、複数当てはまる場合にどれを優先したらいいか分からなくなるんですよね。
ほうほう、あ、こんなのもあるのか~くらいには見てもいいかもしれませんが、それで凝り固まってしまうとせっかくフラットに考えたものが左右されかねないと思いますので、最後に紹介しました。
あくまで参考で、上で考えてもらったプロセスで導きだした内容の方を重視してくださいね。

ここまで「譲れないこと」の見つけ方を解説しました!
まとめると次の通りです!
まとめ
- 強い感情が湧き上がる瞬間を振り返る
- 大切にしているルールや習慣があるかどうか
- 選択の際に基準にしているものがないかを振り返る
- 妥協できなかった経験を振り返る
- 他人に対して期待することがなにか
- 他人の評価に左右されないことはなにか
- 達成感や満足感を得たときの理由はなにか
- ストレスを感じる状況の原因
- 自己のアイデンティティと結びついていること
- どんな状況でも一貫していること
- 人生の優先順位の上位にあること

タイミングはたくさん紹介しましたが、ご自身の中で優先度の高いことを3~5個ほど洗い出してみてくださいね。
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